東京都、宿泊施設の“格付制度”導入を検討 外客誘致強化策の一環、来年度より検討委設置 東京都は11月29日、東京を訪れる外国人旅行者を今後5年間で600万人に倍増させるための行動指針「観光産業振興プラン」を正式に発表したが、外国人旅行者にわかりやすい宿泊情報を提供するため、ホテルや旅館の格付制度導入を検討することを新たに盛り込んだ。都では去る8月、同プランの素案を発表していたが(既報)、都議 会、観光事業審議会、観光事業者、都民からの意見を反映させた本プランを今回発表 したもの。この中で都は、宿泊施設の格付制度導入を、今後取り組むべき施策のうちでも「早急に着手すべき施策」として新たに盛り込んでおり、来年度(2002年4月以 降)早々には有識者、関係業界、行政、出版社等の関係者で組織する検討委員会を設 ける考えで、日本初と言える宿泊施設の格付制度が東京都で導入されることとなるの か、今後の議論の行方が注目される。 宿泊機関の格付けについては1999年に一度、旧運輸省観光部が宿泊者へのアンケー ト調査結果をもとに各施設の評価をまとめ、社会一般に公表すること検討、大分県別府市で試験的にアンケートを実施したものの、“格付け”に対する宿泊業界の反発が強かったこともあって導入が見送られた経緯がある。都でも、「格付けに対するホテ ル・旅館の拒絶反応があることは理解しており、そのためにも周知期間として今年度 一杯は必要」との考えから、検討委員会の設置を来年度からとしたものだが、「外国人旅行者を誘客するための前提条件として、格付けの導入は検討せざるを得ない課題。施策に盛り込むことで都の誘客姿勢を示した」と説明しており、業界の理解を得 た上で導入にこぎつけたい考えを表明している。また、宿泊施設の格付制度は、諸外国でも様々な手法で取り入れられていることから、来年度の検討委設置を前に、都で は各国の格付制度について調査を進める方針だ。 また都では、同プラン推進のための財源確保策として「ホテル税の創設」を明示しており、ホテル税による税金収入を同プラン推進の財源としたい考えを改めて強調し た。都によると、本日4日に開催される都議会において、ホテル税が正式に提案され る予定で、審議が順調に進めば12月中〜下旬には採択される見通しだと言う。同プラ ンの中で都は、「ホテル等の宿泊者に一定の負担を求め、その収入を東京の魅力を高 める施策に振り向けていくことで、さらに多くの旅行者が東京を訪れるという好循環を創り上げていくことになれば、東京のポテンシャルを高める上で重要な意義を持 つ」とその有効性を強調、ホテル税の導入によって「安定的、継続的に観光施策の財 源を確保」したい考えを示している。 なお、都が導入を検討しているホテル税は、観光に使途を限定した法定外目的税として、都内ホテル等の宿泊者を対象に、宿泊料1万円以上1万5000円未満では1人1 泊に対し100円、1万5000円以上では1人1泊に対し200円を課税するもので、税収規模は15億円程度と試算されている。 |
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