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2003年5月14日【特別号】

 SARS影響で雇用調整助成金の特例措置実施
 旅行・航空関連業界全社対象に15日から半年間

 
重症急性呼吸器症候群(SARS)の影響により経営が悪化している旅行関連事業者、航空事業者に対して、かねてより雇用調整助成金の適用条件緩和を検討していた国土交通省と厚生労働省は、5月15日から11月14日までの半年間、旅行・航空業界を雇用調整助成金の対象事業種に認定し、特例措置を実施することを明らかにした。
 米国同時多発テロ事件の時には、中小の旅行関連事業者に対して、雇用調整助成金の適用条件緩和が実施されたが、今回は大手を含む旅行会社と初めて航空会社にも適用される。

 旅行延期勧告地域の売上が全体の15%以上
 最近2カ月平均で前期比15%以上減少が条件

 特例措置の対象となるのは、SARSの蔓延状況を踏まえて、厚生労働省より不要不急の旅行延期勧告を発している地域に対して、人の移動を伴う事業を行っており、前年度の当該地域に対する売上等が全生産量の15%以上である事業所の事業主としている。
 つまり、各企業の中で、支店単位の事業所などが、これに該当すれば地方単位で適用される。
 現在、不要不急の旅行延期勧告が発出されている香港、広東省、北京市、山西省、天津市、内モンゴル自治区、台北の7地域の当該地域となる。
 現行の生産量要件では、生産量の最近6カ月の月平均値が前年同期比10%以上減少だったが、半年平均では平準化されてしまうため、特例では生産量の最近2カ月の月平均値が前年同期比15%以上減少に緩和された。
 雇用調整助成金は景気の変動、産業構造の変化等に伴う経済上の理由により、事業活動の縮小を余儀なくされ、休業等を行った事業主に対して、休業手当等の一部を助成することで、失業予防を目的とした制度。
 支給内容は、休業等の場合は休業相当額の2分の1、中小企業は3分の2、出向の場合は出向元で負担した賃金の2分の1、中小企業は3分の2が支給される。
 旅行関連業界では、去る3月24日に雇用調整助成金の適用条件の緩和を求める要望書を扇国土交通大臣に対して提出しており、その後のSARS感染の拡大による海外旅行需要の急減で、その実現が急務とされていた。
 扇国土交通大臣は厚生労働省と協議して、旅行・航空業界に対して、雇用調整助成金の適用条件緩和を一日も早く実現したい意向を示していた。国土交通省では、旅行業、ツアーオペレーター業、添乗サービス業などの旅行関連事業者や航空事業者の経営状況が大変厳しい状況になっているとし、5月15日からの実施となった。


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(c)航空新聞社 2003

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