日刊旅行通信

2005年11月28日特別号

　JTB、R&Cツアーズを買収、来年1月に子会社化
　現状体制は維持、ミクロネシアでのシェア4割強に

　JTBは、来年1月末までにアールアンドシーツアーズ（R&Cツアーズ）の全株式を買収、完全子会社化することで、R&Cツアーズと基本的合意に達したと発表した。なお、買収金額は非公表。買収によりJTBは、R&Cツアーズが主力とするハワイやミクロネシアなど、ビーチ方面での仕入れ力強化や現地地上サービスの効率化、共同事業の推進により、商品力を強化するのが狙い。
　JTBは、かねてよりミクロネシア方面での営業拡大を目的に、同エリアで強みのあるR&Cツアーズとランドオペレーター業務における資本提携を提案、今回R&Cツアーズのニーズと合致し、子会社化に至ったと説明している。
　2004年度のミクロネシア（グアム、サイパンなど）への取り扱い人員は、JTBが24.5％で首位。R&Cツアーズは19.6％の第2位で、合併によりシェアは43.1％に達し、第3位のジャルパック（18.8％）や第4位のHIS（17.6％）を大きく引き離す。またハワイ方面でも両社の2004年の取り扱い人員シェアの合計は約25％（JTB：約20％、R&C：約5％）となり、ジャルパックの約10％（推定）を大きく上回る。
　特にR&Cツアーズは、ノースウエスト航空やコンチネンタル航空と提携。両航空の旅行商品ブランド「ノースウエスト航空ワールドバケーション」「コンチネンタルホリディ」の造成を行っている。このうちサイパンは現在、日本からの直行便はノースウエスト航空（NWA）だけとなっており、同航空の提携旅行商品を持つR&Cツアーズの優位性はさらに高まっている。
　なお、R&Cツアーズの子会社化後もJTBは、R&Cツアーズの名称や経営体制は当面変更せず、現状通り維持する方針。電鉄系旅行会社を中心に約500社（店舗数約3000店）にわたる販売店取引先とのツアーオペレーター契約やホールセール契約等、営業体制も継続。さらに前述の「ノースウエスト航空ワールドバケーション」や「コンチネンタルホリディ」、「ウィッティ」などの商品ブランドも維持する。スタッフについても何ら変更がない。

　ミクロネシア、ハワイ、北米方面で協業
　JTBグループでの主力会社に

　また、JTBでは今回の買収の目的であるミクロネシア、ハワイ、北米方面での商品力強化の方針に基づき、R&Cツアーズを同方面における主力会社と位置づけ、JTBグループの既存会社であるパシフィックミクロネシアツアーズやJTBワールドバケーションズなどと航空仕入れ、海外地上仕入れ部門面での協業を進める方針だ。
　R&Cツアーズの2005年7月期の売上高は約289億円、経常利益は約6億円。2004年度の取り扱い人員はトータルで約36万人。株式は取締役社長を務める矢島勝美氏が76.7％保有（議決権100％保有）、残りは従業員持株会が23.3％保有している。

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